色素の製剤化技術で色流れを抑制

フルーツソースのかかったデザートなどにおいて、ソースの色がデザート本体に広がったり、にじんだりする「色流れ」が生じることがあります。色流れが発生すると見た目が悪くなり、購買意欲の低下につながりかねません。これらの課題を解決するために製剤化技術で色流れを抑制した着色料製剤を紹介します。

解決事例 色流れしない色素製剤 いちごムース トップ画像360


目次

 ・SNSなどで注目が集まる色鮮やかなデザート
 ・色鮮やかなデザートを開発する際の課題:経時的な色流れをさせず、見た目を維持させたい
 ・解決策:製剤化技術により粒子サイズを調整し、色流れを抑制
   - 1. 乳化(O/W型)色素
   - 2. 結晶分散(S/W型)色素
   - 3. 二重乳化(W/O/W型)色素
   - 応用例1:カラフルなゼリーインゼリー
   - 応用例2:色流れしないフルーツソース


SNSなどで注目が集まる色鮮やかなデザート

コンビニや飲食店では色濃く鮮やかなデザートを見かけます。SNSの普及に伴い、色鮮やかな商品写真の投稿によって話題が広がりヒット商品につながるケースも増えています。SNS映えする食品として、層状のデザートやフルーツソースのかかったデザートなど色鮮やかな商品が販売されています。


色鮮やかなデザートを開発する際の課題

経時的な色流れをさせず、見た目を維持させたい

色流れの事例
イチゴゼリーとムースの層状デザートやムースにイチゴソースをかけると、ゼリーやソースの赤色がムースに浸み込み、にじむことがあります。

解決事例 色流れの事例 いちごゼリーとムース2

ゼリーやムースなどの水分の多い食品では、水が常に自由に移動しています。そのため、水溶性色素を使用し食品を部分的に着色しても水とともに水溶性色素が移動し色流れが発生します。
色流れが生じると見た目が良くないこと以外にも、作られてから時間がたったものという印象を与えてしまい、購買意欲の低下につながりかねません。

解決策

製剤化技術により粒子サイズを調整することで色流れを抑制

色鮮やかな層状デザートやソースの掛かったデザートには多糖類が使用されており、この多糖類が食品の中で網目構造を作ることでゲルを形成したり粘度を付与したりします。
この多糖類の網目構造の中で自由に移動できないサイズに色素を調整することで、色素の色流れを防止することができます。色素の粒子サイズを調整するには、「O/W乳化」「結晶分散」「二重乳化」の3つの製剤化技術があり、それぞれの色素の特徴を説明します。

色素の色流れ防止イメージ図
解決事例 色流れ防止色素製剤 防止イメージ4


1. 乳化(O/W型)色素

油溶性色素を界面活性剤などの基材で乳化し、水相中に分散できるように製剤化した色素です。界面活性剤などの基材と乳化方法の違いにより、粒子サイズをコントロールすることができます。粒子サイズの大きさにより透明から濁りの強いタイプを作ることできます。色流れさせないためには、粒子サイズの大きい濁りの強いタイプにする必要があります。油溶性色素はカロチノイド系色素に限定されるため、色調は黄色からオレンジ色に限られます。

O/W乳化色素のイメージ図
解決事例 O/W乳化 イメージ図

ラインアップ例
解決事例 O/W乳化 色素製剤 ラインアップ例


2. 結晶分散(S/W型)色素

水に不溶な色素の結晶を界面活性剤などの基材を用いて、水相に均一に分散できるように製剤化した色素です。色素の結晶を細かく粉砕し、界面活性剤などの基材により結晶どうしの凝集を防ぎ、水への分散性や安定性を高めています。同じカロチノイド系色素でも、乳化色素と比較して赤みの強い色調が得られる特徴があります。

結晶分散色素のイメージ図
解決事例 S/W結晶分散 イメージ図

ラインアップ例
解決事例 S/W結晶分散 色素製剤 ラインアップ例


3. 二重乳化(W/O/W型)色素

水溶性色素を油相中に乳化させ、さらに水層に乳化させることで水分散できるように製剤化した色素です。さまざまな色調を持つ水溶性色素を使用できるため、青や緑、透明感のある赤色も調整可能です。さらに油相部分に油溶性色素を併用することで色調のバリエーションを広げることが可能です。

二重乳化色素のイメージ図
解決事例 W/O/W乳化 イメージ図

ラインアップ例
解決事例 W/O/W乳化 色素製剤 ラインアップ例


応用例1:カラフルなゼリーインゼリー

水溶性色素をカットゼリーに着色した場合、経時的にカットゼリーから外側の透明ゼリーへ色流れが発生します。
色素の製剤化技術を応用することで、長期保管しても色流れをしないゼリーインゼリーを作ることができます。また、各種色素をラインアップしており、フルーツなどのイメージに合う色流れしないカットゼリーを作ることができます。さらに外側のゼリーに水溶性色素を使用したり、色の異なるカットゼリーを入れたりすることで、カラフルなゼリーインゼリーを作ることができます。
解決事例 色流れ防止 カラフルなゼリーインゼリー


応用例2:色流れしないフルーツソース

ヨーグルトにソースをかけた場合、ヨーグルトへ色がにじむと見た目のおいしさが失われます。イチゴの熟した果実のイメージのソースを作る場合、水溶性の赤キャベツ色素と油溶性パプリカ色素の二重乳化色素を使用することで色流れしないイチゴのソースを作ることができます。また、パインの果肉をイメージしたソースは、β-カロテンの乳化色素を使用することで色流れしないパインソースを作ることができます。
解決事例 色流れ防止 ヨーグルトソース


当社では色流れしない色素をラインアップしています。食品へのカラフルな着色にご興味のある方や色流れでお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。

※掲載データは当社評価によるものです。ご検討の際には十分な試験をお願いいたします。

(2022年10月)

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