たん白強化飲料をよりおいしく、より飲みやすく

従来、たん白強化飲料の設計において、たん白素材の好ましくない臭いを隠すためには、強い香りを全体的に覆いかぶせる方法しかとれず、思い通りの風味設計ができませんでした。不快臭の原因物質のみを狙って選択的にマスキングできる香料製剤「フレーバーコントローラー®」を使用することで風味設計の自由度が広がります。

 

たん白質の摂取量は世代を問わず不足気味

たん白質は、生命活動を維持するために必要な五大栄養素の一つであり、筋肉や臓器、皮膚などの身体の構成成分、酵素やホルモンなどの代謝調節機能の成分として重要な栄養素です。

ところが、国民健康・栄養調査によると国民のたん白質摂取量は1998年以降大きく減少しており、近年では戦後間もない1950年代と同レベルにまで落ち込んでいます。特に20~30歳代女性のたん白質摂取量が少なく、令和元年の20~29歳女性の摂取量は、80歳以上を含むどの世代の平均より低い数値となっています。また、高齢者の健康については、「サルコペニアの予防」が課題として挙げられ、2020年版日本人の食事摂取基準では、65歳以上の総エネルギー量に占めるたん白質由来エネルギー量の割合目標が、従来の13%から15%へと引き上げられています。 仕事や家事、育児などに忙しくて時間がない子育て世代や、面倒くさくて朝食を抜いてしまう若年世代、食が細くなってきた高齢世代などに手軽においしくたん白質を摂取してもらう工夫が必要です。

このような状況の中、女性の健康や美容、高齢者の健康のための高たん白商品の開発が活発化しており、たん白の風味のマスキング技術が求められています。

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市場が拡大しているたん白強化飲料の課題は風味

たん白強化飲料には多くの場合、ホエイや大豆たん白などのたん白素材が用いられます。しかし、これらのたん白素材には独特の味や臭いがあるため、たん白強化飲料を飲みやすく仕上げるには、味や臭いの極力少ないたん白素材を使用するか、もしくは、たん白素材の味や臭いを感じさせないようにする商品設計上の工夫が必要です。

不快な味や臭いがより少ないたん白素材を選択するにしても、コストを圧迫したり、それでも不快な臭いが全くないわけではなかったりと、素材探しにも限界があります。また、工程中の加熱や経時変化によってたん白素材から発生する油臭や金属臭などの劣化臭の対策も必要です。

解決策

風味を変えずにたん白の不快臭だけを狙い撃ち

フレーバーコントローラー®シリーズは、人が香りを感じるメカニズムに着目して開発されたマスキング香料です。食品全体の香りには影響を与えず、好ましくない臭いの原因物質のみを選択的にマスキングすることができます。

例えば、たん白強化飲料を設計する場合、たん白素材自体の味や臭い、劣化臭を隠すために人工的なピーチの香りや甘いココアの香りといった強い香りを全体的に覆いかぶせる方法しかとれず、思い通りの風味設計ができませんでした。しかし、フレーバーコントローラー®を使用することで、たん白素材自体の味や臭い、劣化臭のみを狙ってマスキングすることができるため、フレッシュ感やナチュラル感のあるさまざまな風味のたん白強化飲料を作ることができます。

フレーバーコントローラー®シリーズは、たん白やコラーゲンなどの素材自体の好ましくない臭いや、果汁の加熱臭、レトルト臭などに対応したラインアップしています。たん白強化飲料のみならず、様々な加工食品のマスキングが可能です。

 

臭いの原因物質のみを選択的にマスキング可能

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大豆たん白臭の官能評価結果

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※掲載データは、当社評価によるものです。ご検討の際には、十分な試験をお願いいたします。
※「フレーバーコントローラー」は当社の登録商標です。

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