植物性クリームを
純生クリームの風味に

植物油脂を使用したホイップ用クリームは純生クリームと比べると風味やコクが不足します。分析結果に基づいて調香した「純生クリームの風味を再現する香料製剤」を使用することで、植物性クリームの風味を純生クリームに近づけることができ、さらに経時的に発生する油脂劣化臭をマスキングすることができます。

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目次

 ・ホイップ用クリームの市場動向
 ・純生クリームと植物性クリームの違い
 ・本格風味とコスト・簡便性を両立するには
 ・解決策:香料を活用した2つのアプローチで植物性クリームを純生クリームの風味へ
   - 純生クリームと植物性クリームの風味の差の補正
   - 植物性油脂の劣化臭のマスキング




ホイップ用クリームの市場動向

おうち時間でのプチ贅沢需要を狙ったプレミアム感のある手作り風デザートは、メディアの特集による活性化や在宅勤務の増加を背景に市場拡大を続けています。手を汚さずに片手で喫食できるシュークリームの販売好調や、贅沢感のあるマリトッツォやフルーツサンドのヒットによって、ホイップ用クリームの需要も堅調に推移しています。

クリーム類の販売量推移
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純生クリームと植物性クリームの違い

ホイップクリームは、本来は、泡立て器やハンドミキサーで空気を含ませるように泡立てられた「クリーム」のことを指しますが、今日では「クリーム」を原料としたものに限らずより広い定義で認知されています。一般的には、乳脂肪分のみを原料とした本来のホイップクリームの原料のことを純生クリームと呼び、植物性油脂のみで作られたものを植物性クリーム、この2つを混合したものはコンパウンドクリームと呼び分けられています。
純生クリームはコクが強く濃厚な風味がありますが、泡立てすぎたり温度管理を怠ったりすると分離して食感を損なってしまいます。純生クリームで本格的な味わいのあるなめらかなホイップクリームを作るためには厳密な温度管理と熟練の技術が必要です。
植物性クリームは純生クリームと比べるとあっさりとした味わいで、くちどけや風味では純生クリームに劣ります。しかしながら、泡立てに高い技術が必要なく、保形性に優れており、純生クリームと比較すると安価です。また、賞味期限は純生クリームが冷蔵で1週間程度であるのに対し植物性クリームは冷蔵で3ヶ月程度と日持ちに優れており流通面で有利です。
純生クリームと植物性クリーム両方の良いところを併せ持つように混合されたものがコンパウンドクリームです。

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本格風味とコスト・簡便性を両立するには

手作り風デザートを本格的な菓子店の風味に近づけようとする場合、純生クリームをできる限り多く使いたいと考えるのが一般的です。しかしながら、原材料の値上がりがコストを圧迫する中で高価な純生クリームをふんだんに使用するのは難しいケースがあります。コストが許容できたとしても、取り扱いが難しい純生クリームを使用すると製造工程に制限が生じてしまいます。コストとハンドリング面を重視して植物性クリームの割合を増やした場合、風味面の満足感が損なわれるほか、植物性油脂の劣化した油臭への対策も必要です。

解決策

香料を活用した2つのアプローチで植物性クリームを純生クリームの風味へ

純生クリームと植物性クリームの風味の差の補正

純生クリームと植物性クリームの香気成分の量を分析比較すると、純生クリームは、植物性クリームと比較して圧倒的に香気成分量が多く、特にフレッシュな生乳感につながる香りが多く含まれます。


純生クリームと植物性クリームの香調別主要香気成分量の比較(GC/MS)
解決事例 クリーム香料 GC/MS2



各香気成分の香りの強さを加味した香りの寄与度を数値化すると、純生クリームの香りには脂肪感やスイート香が大きく寄与しています。

純生クリームと植物性クリームの香調別主要香気寄与度の比較(GC/O)
解決事例 クリーム香料 GC/O2



植物性クリームに対し、分析結果に基づいて調香した純生クリームの風味を再現する香料製剤を添加することで、純生クリームと比較して足りなかったフレッシュな生乳感や、脂肪感、スイート香を補うことができ、香気のバランスを純生クリームと同等となるように改善することができます。

純生クリームを再現する香料製剤を添加した植物性クリームの官能評価結果
解決事例 クリーム香料 官能評価2




植物性油脂の劣化臭のマスキング

植物性クリームは、経時的に植物油脂の酸化に起因する風味劣化によって劣化臭が発生しやすくなります。そのため、劣化臭のマスキングも重要となります。全体の香りには影響を与えず、油脂の劣化臭のみを選択的にマスキングする技術を活用し、純生クリームを再現する香料と併用することでフレッシュな純生クリームの風味を長く持続させることができます。

解決事例 クリーム香料 選択的マスキング




純生クリームの風味を再現する香料以外にも、ミルクやバターなど乳製品本来の風味を再現する香料をラインアップしています。原料の高騰やハンドリングにお悩みのある方は、お気軽に問い合わせください。

※掲載データは当社評価によるものです。ご検討の際には十分な試験をお願いいたします。

(2023年1月)

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