粘度を上げることなく
トマトの風味やうま味を増強
トマトペーストは、パスタソースやハヤシソースなど加工食品にトマトの風味やうま味を付与する上で重要な食品素材です。しかし、トマトペーストを多く配合した加工食品は、粘度が上昇するため、配合量を増やしたくても増やせない場合があります。トマト素材「CLEAR TOMATO CONCENTRATE 60°BX 」（以下、「CTC」と称する）を使用することで、加工食品の粘度を上げることなく、トマトの風味やうま味を増強できます。
目次
・幅広い加工食品に使用されるトマトペースト
・ トマトペースト高配合時の課題：高粘度になり製造に影響
・解決策：粘度に影響なく、トマト風味を増強できるCTC
- CTCとは
- 応用例1：パスタソース
- 応用例2：高濃縮のトマト鍋つゆ
幅広い加工食品に使用されるトマトペースト
トマトペーストは、加工食品にトマトの風味とうま味を付与するためにパスタソース、ピザソース、ハヤシソースなどに幅広く使われています。
日本農林規格において、トマトペーストは以下のように定義されています。
１．トマトを破砕して搾汁し、又は裏ごしし、皮、種子などを除去した後濃縮したもの（粉末状及び固形状のものを除く）のうち、無塩可溶性固形分が24%以上のもの。
２．１．にトマト固有の香味を変えない程度に少量の食塩、香辛料、たまねぎその他の野菜類、レモン又はpH調整剤を加えたもので無塩可溶性固形分が24%以上のもの。
トマトペースト高配合時の課題
高粘度になり製造に影響
トマトペーストはさまざまな加工食品に使用されていますが、さらにトマト風味やうま味を強くするために配合量を増やした場合、加工食品の粘度が上昇し製造が難しくなることがあります。そのため、よりトマト風味を強くしたいと思っても限界がありました。
解決策
粘度に影響なく、トマト風味を増強できるCTC
CTCを使用することで、加工食品の粘度に影響を与えることなく、トマトの風味やうま味を増強できます。
CTCとは
CTCは、熟したトマトから不溶性のパルプ分を取り除いてBrix 60°まで濃縮したトマト加工品です。
トマトペーストと異なり、パルプ分を除去しているため、粘度が低く、青臭さが少ないことが特徴です。また、トマトペーストの2倍のBrixであり、少量でトマトの風味やうま味を付与できます。
CTCとトマトペーストの各種物性および総遊離アミノ酸含量比較
CTCとトマトペーストの青臭さに繋がる香気成分比較
応用例1：パスタソース
パスタソースは製造適性などの面からトマトペースト35%程度が配合の上限ですが、トマトの風味やうま味の強いパスタソースを作るために、トマトペーストを49%配合した試作品①を調製しました。その結果、試作品①は、トマトペーストを35%配合したスタンダード品と比較して、トマトの風味やうま味が強くなりました。しかし、粘度が非常に高く、撹拌や充填が困難になるなどの製造適性の課題が示唆されました。次に、トマトペーストの一部をCTCに置き換え、試作品①と同じBrixになる試作品②を調製しました。その結果、試作品①よりもさらにトマトの風味やうま味が強いパスタソースを作ることができました。また、試作品②の粘度は、スタンダード品と同等でした。
各パスタソースの粘度
各パスタソースの官能評価結果
応用例2：高濃縮のトマト鍋つゆ
近年は、共働き世帯の増加や家族間での生活リズムの違いなどにより、家庭内の個食が増加しています。その中で、人数分に合わせられる鍋つゆの濃縮タイプなどが支持されています。しかし、トマト風味の鍋つゆで高濃縮タイプを製造する場合、トマトペーストを多く配合したくても、粘度が上昇するため製造適性の課題を生じる可能性があります。実際に、高濃縮のトマト鍋つゆ中のトマトペーストを50%配合した試作品①の場合、粘度が高くなり、撹拌や充填が困難になりました。一方、トマトペーストの一部をCTCに置き換え、試作品①と同じBrixになる試作品②を調製しました。その結果、試作品①よりも粘度が減少し、攪拌しやすく、充填時の容器への付着も抑えることができました。さらに、トマトの風味やうま味が強い高濃縮のトマト鍋つゆを作ることができました。
各高濃縮トマト鍋つゆの容器への付着
各高濃縮のトマト鍋つゆの粘度
各高濃縮のトマト鍋つゆの官能評価結果
トマトを使用した加工食品の粘度にお困りの方、よりトマト風味を強くしたいとお考えの方は、下記のお問い合わせフォームにてお気軽にお問い合わせください。
※掲載データは当社評価によるものです。ご検討の際には十分な試験をお願いいたします。
(2023年5月)
