減塩や減糖調味料開発に
有効な日持向上剤

常温で長期保存されるたれやソース、つゆなどの調味料は、殺菌やpH、水分活性を組み合わせることで保存性を確保しています。昨今の健康志向を受けた減塩や減糖は調味料でも着目されていますが、これにより水分活性が上がり保存性が低下します。日持向上剤製剤であるアートフレッシュ® シリーズを使用することで、調味料の風味に影響を与えず保存性を確保することができます。 タレソースつゆ.png



目次

 ・ハードル理論による微生物の増殖制御
 ・減塩や減糖する調味料の課題:水分活性が上昇し保存性が低下する
 ・解決策:日持向上剤製剤アートフレッシュ® シリーズ使用で保存性と風味の課題を解消
  応用例:生姜焼きのたれ(減塩30 %)
      生姜焼きのたれでの微生物増殖による腐敗リスク
      生姜焼きのたれの風味評価



ハードル理論による微生物の増殖制御

ハードル理論は、食品中の微生物の増殖を制御するために、殺菌やpH、水分活性、日持向上剤などの複数の要因(ハードル)を組み合わせて保存性を高める考え方です。これにより、相乗的な保存効果(ハードル効果)を得ることが可能です。さらに、新たなハードルを加えることで、従来のハードルを低く設定しても微生物の増殖を制御することができます。


ハードル理論による微生物.png




減塩や減糖する調味料の課題:水分活性が上昇し保存性が低下する

たれやソース、つゆなどの調味料は常温で長い賞味期限が設定され、さらに開封後も使い切るまでの期間が長いことが特徴です。保存性を確保するために、通常、殺菌やpH、水分活性の条件を一般的な食品よりも厳しく設定しています。昨今の健康志向を受けた減塩や減糖商品では、水分活性が上昇し腐敗のリスクが高まることから酒精(アルコール)を併用して保存性を確保する場合がありますが、酒精の添加により食品の風味が影響を受けやすくなります。


解決策

日持向上剤製剤アートフレッシュ® シリーズ使用で風味に影響を与えずに
保存性の課題を解消

アートフレッシュ® シリーズは少量で微生物の増殖を抑えることができる、食品の風味への影響が少ない日持向上剤製剤です。たれやソースなどで問題となりやすい加熱工程後も残存する耐熱性芽胞形成菌や、二次汚染によるカビなど幅広い微生物に対して高い静菌効果を示します。

酒精に加え、新たなハードルとしてアートフレッシュ® シリーズを組み合わせることで、保存性の確保と酒精による風味への影響を抑えることが可能です。




応用例:生姜焼きのたれ(30 %減塩)



生姜焼きタレ.png

生姜焼きのたれでの微生物増殖による腐敗リスク

図1、2は生姜焼きのたれの水分活性と酒精の2つの条件による腐敗リスクの範囲を示しています。
生姜焼きのたれ100 g当たりの食塩量を30 %減塩した場合、水分活性が0.88から0.92にあがり、腐敗リスクが大幅に高まり保存性が低下します。保存性を確保するためには、2.4 %以上の酒精の添加が必要となりますが、その添加量ではアルコール臭により風味が低下します(図1)。一方、減塩したたれにアートフレッシュ® NO.101を併用することで、微生物の増殖を制御できる範囲が大幅に拡がります。このため酒精の添加量を下げることが可能となり、アルコール臭を低減できます(図2)。

日持向上剤不使用.png


図1 微生物の増殖による腐敗リスク範囲/日持向上剤不使用


アートフレッシュ.png


図2 微生物の増殖による腐敗リスク範囲/アートフレッシュ® NO.101 0.3 %併用
*各条件における被検菌(耐熱性菌、乳酸菌、酵母)増殖の有無から、ロジスティック回帰分析にてモデルを作成し、増殖する確率が0.1 %以下を増殖抑制可能な範囲と判定しました。




生姜焼きのたれの風味評価

生姜焼きのたれにおいて、減塩前と30 %減塩したたれの風味を官能評価しました。単純に減塩した場合は風味のバランスが崩れるため、甘味料の添加量を調整し、塩味を増強する香料や調味料を添加することで減塩前の風味を再現しました。しかし、保存性を確保するために酒精を3 %添加すると、アルコール臭が強く生姜やうま味など風味が弱くなりました。 
保存性を確保するためにアートフレッシュ® NO.101 0.3 %と酒精0.8 %を併用した減塩のたれでは、アルコール臭が大幅に低減されることで風味への影響が低下し、生姜の香りやうま味が感じられるようになりました(図3)。



アートフレッシュ.png


図3 アートフレッシュ® NO.101併用による生姜焼きのたれの官能評価


当社では、静菌効果の高い日持向上剤として「アートフレッシュ® シリーズ」をラインアップしています。ハードル理論に基づく日持向上剤の利用について多くの知見を持っており、新しい食品開発をサポートしています。食品の保存性とおいしさの両立でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

※掲載データは、当社評価によるものです。ご検討の際には十分な試験をお願いいたします。
※「アートフレッシュ」は当社の登録商標です。


(2023年12月)

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