第36回食品ハイドロコロイドシンポジウムにて「多糖類とタンパク質の複合体を利用したエマルションの調製と食品での活用」について口頭発表を行いました。
演題
多糖類とタンパク質の複合体を利用したエマルションの調製と食品での活用
発表者
前田和寛 1
1. 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
発表内容
三栄源エフ・エフ・アイ株式会社が開発したタンパク質と多糖類の複合体を利用した乳化システムとそれを利用したエマルションゲルについての発表を行いました。乳性タンパク–キサンタンガム複合体を利用したエマルションは酸性条件下で高い乳化安定性・経時安定性を発揮することが確認されました。乳性タンパク-キサンタンガム複合体による粒子構造とフィブリル構造が一体となった特徴的な構造により、ピッカリングエマルションを形成し、このエマルションの安定性向上に寄与していることが考えられました。また、大豆タンパク–キサンタンガム複合体についても乳性タンパク-キサンタンガム複合体と同様に安定なエマルション形成に寄与し、エマルションゲル調製に有用である事が確認されました。得られたエマルションゲルは、ゲル化剤の種類や油量、油滴径の調整により幅広い物性制御が可能であり、熱や機械的操作への適応性や食感の調整にも対応できることも示されました。本乳化システムは、食品の風味や食感の改善に加え、環境持続性に資する製品開発にもつながる可能性があり、食品業界において機能性に優れ、消費者に支持される製品開発への貢献が期待されます。
学会名
第36回食品ハイドロコロイドシンポジウム(2025年6月21日 京都大学にて開催)