日本食品科学工学会第70回記念大会にて「ヒトの摂食メカニズムを考慮した力学測定およびヒト生理計測による食品テクスチャーの評価と加工食品の製品デザイン」について発表を行い「技術賞」を受賞しました。
賞題
技術賞(編集委員会の厳正な審査を経て、該当年度までに実用的に高く評価される業績をあげた者、または共同研究開発者に授与されるものです。)
演題
ヒトの摂食メカニズムを考慮した力学測定およびヒト生理計測による食品テクスチャーの評価と加工食品の製品デザイン
発表者
船見孝博 1、中馬誠 1、石原清香 1、神山かおる 2、小野高裕 3、堀一浩 4、西成 勝好 5
1. 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
2. 農業・食品産業技術総合研究機構食品部門
3. 大阪歯科大学高齢者歯科学講座
4. 新潟大学大学院医歯学総合研究科
5. 湖北工業大学生物工程与食品学院
発表内容
三栄源エフ・エフ・アイ株式会社は、大学などの研究機関と連携し、食品テクスチャーの新しい評価法を開発し、それを活用した加工食品の開発に取り組んできました。2011年以降、約40報の論文を発表し、この実績が日本食品科学工学会に認められ、「ヒトの摂食メカニズムを考慮した食品テクスチャーの評価と加工食品の製品デザイン」について「技術賞」という栄誉ある賞をいただきました。受賞対象となった研究のうち、2つの研究概要を紹介します。
1.舌での押し潰しを再現したテクスチャー評価
やわらかい食品は、歯を使わず舌で潰して食べる場合があります。しかし、従来の「かたい治具」を使った測定方法では、舌の動きを考慮できませんでした。そこで、当社は人工舌と圧縮試験機を組み合わせた測定方法を開発し、ヒトが舌で潰す時の食感特性をより正確に評価できるようにしました。この技術は、高齢者向けのゼリーなど、誰でも食べやすい加工食品の開発に役立てています。
2.生理計測によるテクスチャー評価
摂食や嚥下の過程で生体器官から発せられるシグナルはヒトの感覚と関係し、テクスチャーの動的な変化を表す可能性があります。当社は筋電位測定や嚥下音の測定、感圧センサーを用いた嚥下挙動解析等により、食品や飲料の「食べやすさ」「飲み込みやすさ」といった今まで数値化が難しかった特性を評価する方法を確立しました。この手法は、とろみ調整食品など多様な加工食品の開発にも応用しています。
学会名
日本食品科学工学会第70回記念大会(2023年8月24日~26日 京都女子大学にて開催)