日本食品科学工学会誌に「Temporal Dominance of Sensations(TDS)法を用いたアイスクリーム類の食感の『リッチ感』解析」についての論文が掲載されました。
論文タイトル
Temporal Dominance of Sensations(TDS)法を用いたアイスクリーム類の食感の「リッチ感」解析
著者
太田美樹 1、石原清香 1、後藤佳代 1、栗田真衣 1、中馬誠 1、船見孝博 1
1. 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
アブストラクト
冷菓は嗜好品として人気があり、「高級感」や「リッチ感」を感じる商品が求められています。三栄源エフ・エフ・アイ株式会社では、市販および試作アイスクリーム類について、喫食中に知覚される食感の経時変化と食感の「リッチ感」の関係を調べることで、「リッチ感」の要素解析を行いました。風味や食感の質の経時変化を評価するTDS法により喫食中の食感変化を見える化し、得られたTDSカーブをもとに多変量解析を行うことで、食感の「リッチ感」の推定式を得ました(特許第7268217号)。その結果、食感の「リッチ感」は、付着感に関する「ねっちり」と「さくい」、舌ざわりに関する「なめらか」と「シャリシャリ」、後口に関する「もったり」と「すっきり」といった食感要素で構成されることが明らかになりました。また、冷菓用安定剤等の種類や添加量によって上記の食感要素をコントロールすることで、「リッチ感」を高められることが示されました(図1)。このような喫食中の食感変化を解析する手法は、低脂質や低糖質の冷菓の食感改良に応用できるほか、冷菓に限らず、様々な加工食品における食感の評価や設計にも展開することができます。
掲載誌名
日本食品科学工学会誌、2023, 70, 3, P.117-127