研究論文・学会発表(詳細)

日本食品科学工学会第69回大会にて「α-シクロデキストリンと香料成分の包接挙動に関する解析」について口頭発表を行いました。

演題

α-シクロデキストリンと香料成分の包接挙動に関する解析

発表者

上田祐也 1、松倉琢磨 1、東顕二郎 2、森部久仁一 2
1. 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
2. 千葉大学大学院薬学研究院

発表内容

香りは食品のおいしさを左右する重要な要素であり、加工食品の嗜好性を高めるためには製造工程における香り成分の損失をいかに低減するかが重要です。香り成分を保持する目的でシクロデキストリンが利用される場合があり、例えばワサビに特徴的な揮発成分がシクロデキストリンの分子内の空洞に取り込まれる包接機能が知られています。しかし、先行研究は単一の香り成分の挙動を検討対象にしており、複数成分系での検討事例は少なく、香料製剤の開発には十分に活用されていませんでした。三栄源エフ・エフ・アイ株式会社では、異なる香料成分「2-メチルブタノール」と「アセトイン」を用いて、香料成分が共存する系におけるα-シクロデキストリンの包接挙動について検討しました。その結果、香料成分が共存する系では、成分同士が互いに影響し合い包接を促進させる傾向にあり、包接されにくい成分「アセトイン」においても、α-シクロデキストリンとの結晶構造を形成し安定化されることを見出しました(特許第6727386号、特許第6783370号)。三栄源エフ・エフ・アイ株式会社では、本研究で得られた知見を応用し、高い耐熱性をもつ香料製剤「サンテイスト®」を開発・上市しております。クッキーやビスケットなど、高温で焼成することにより通常は香料成分が揮発してしまう食品でも、香料成分を保持することが可能になり風味を良好に発現することができます。今後も香料の製剤化技術の研究に努め、新たなる価値を提供する香料製剤の開発を目指します。

学会名

日本食品科学工学会第69回大会(2021年8月24日~26日 Webにて開催)

pagetop