日本食品化学学会誌に「クルクミンの活性は、最初に分散・溶解させる溶媒によって変化する」についての論文が掲載されました。
論文タイトル
クルクミンの活性は、最初に分散・溶解させる溶媒によって変化する
著者
長野一也 1、2、前北光 1、平井はるな 1、中尾友洋 1、3、木下圭剛 3、坂田慎 3、西野雅之 3、辻野博文 1、4、東阪和馬 1、5、堤康央 1、6
1. 大阪大学大学院薬学研究科
2. 和歌山県立医科大学薬学部
3. 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
4. 大阪大学総合学術博物館
5. 大阪大学高等共創研究院
6. 大阪大学国際医工情報センター
アブストラクト
クルクミン(CUR)はウコンの主成分で、様々な生理作用を持っていますが、水にほとんど溶けず、体内吸収も低いため、効果が限定的です。こうした課題の解決を目的として、私たちは水溶性と吸収性を高めた非晶質CUR製剤を開発しました。本研究では、非晶質CURと従来製剤(原末および市販製剤)を水に分散し、がん細胞(HepG2)への細胞障害性を比較しました。その結果、非晶質CURのみが高い細胞障害性を示し、原末と市販製剤では効果がほとんどありませんでした。この違いは、DMSOで分散させるとすべての製剤で細胞障害性が見られたことから、初期分散溶媒に依存すると考えられます。以上より、実験に適した手法選択の重要性が示唆されました。
掲載誌名
日本食品化学学会誌 Vol.29(3), 179-183 (2022)