知っておこう!食品添加物業界

1.食品添加物の市場規模

2011年度の食品添加物市場は、10,246億円。この年は東日本大震災の影響が生産・供給に一部及んだものの、その後の支援物資の増産などが寄与したことで、年間トータルでは微増推移し、2010年に引き続き1兆円を越えました。2001年の8,138億円から比べると、この10年間で着実にその規模は大きくなってきたことがわかります。2001年は310万6000t余りだった生産量も、2010年には330万tを超えています。少子高齢化の進展や食品産業の成熟化が進み、食品や外食産業の売り上げが伸び悩む中で、食品添加物は安定した需要を確保しているといえます。
ただし、ここでの数量は、厚生労働省で規制している指定添加物や既存添加物に加え、食品素材となっている糖化製品や香辛料なども対象に含まれています。このため、この売上高は食品添加物のみの数値を表すものではありません。

  • 売上高の推移出典:食品化学新聞(2012年1月12日付)
    食品添加物総覧2010(食品化学新聞社発行)
  • 売上高の内訳出典:食品化学新聞(2012年1月12日付)

    ※「甘味料」項目には、異性化糖、水あめ等の糖化製品、「調味料」項目には野菜、畜肉、魚介エキス、魚醤等が含まれています。

2.食品添加物に関わる企業

食品添加物に関わる企業には、大きく分けると食品添加物を製造・販売する食品添加物メーカーと、メーカーから卸して販売する食品添加物問屋とがあります。食品添加物専門メーカーのほか、食品メーカー、製薬会社、化学系メーカー、商社などが市場に参入しています。
大企業の中には、三栄源エフ・エフ・アイのようにメーカー機能と卸売機能の両方を備えているところもありますが、その多くは小規模企業です。100人以上の企業は、全体の1割にも満たないといわれています。大手企業においても、特定の食品添加物分野に特化した専門メーカーが中心で、三栄源エフ・エフ・アイのように多分野にわたる食品添加物を扱う企業は一握りです。

3.食品添加物業界の動向

  • 合成から天然へ
  • グローバル化
  • 高付加価値化
  • サスティナビリティ

「合成」から「天然」へ誤解が生んだ消費者の志向

これまで技術・研究の進展によって、多くの合成 食品添加物が開発されてきました。中でも、消費者の無添加志向や天然志向の高まりにより、天然素材から作られる食品添加物に対するニーズが高まり、企業もこぞって天然由来の原料を使った食品添加物の開発に力を注いでいます。これは「合成=危険」という消費者の誤った認識や健康志向から大きくなった風潮です。合成系のものも含めて市場に出回る食品添加物はすべて厳しい基準をクリアし、法的に認められたものであり、一概に合成より天然由来の食品添加物の方が安全性は高いとは限りません。

グローバル化さらに大きな市場を求めて

グローバル化の潮流は、食品添加物市場においても無縁ではありません。とりわけ人口減少が進む日本では、国内の食品需要の拡大が見込めないため、食品に関わる企業の多くが販路を海外に求めるようになってきました。食品添加物業界でも、食品メーカーの海外進出や外国での日本食ブームによって、国内から海外展開への動きが加速しています。しかし食品添加物に関する法令や規制、または文化や宗教上の規範などは国によってさまざまです。食品添加物の海外進出には、そうした各国それぞれの基準をクリアしなければならないという課題があります。

高付加価値化社会のニーズに対応して

食品添加物は、その本来の果たす機能以外に、より食品に付加価値を与える事ができます。
「健康」に対する意識の高まりや少子高齢化といった社会状況の中、高付加価値食品の開発が活発になっています。食品添加物業界でも、こうしたニーズに対応した製品の開発が進んでいます。介護食に適した食品を作るための添加物、あるいは栄養素や美容・健康成分を含有した食品の開発を可能にする添加物など、食品添加物が付加価値の高い食品の開発を可能にしています。

サスティナビリティという視点見直される食品添加物の有用性

「サスティナビリティ」という視点から、今、食品添加物の有用性が改めて見直されつつあります。加工食品の歩留りアップや日持ち向上など、食品添加物の働きは、環境にもコストにも役立ちます。
また自然災害対策や近年続発する食中毒事故の防止という観点から、食品の「安全性」、「保存性」を高めるだけでなく、「安定供給」の側面からも食品添加物の重要性はますます増していくと考えられます。